民法改正「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ 増大する建築訴訟リスクにどう備えるべきか?
2022.04.20
民法(1896年:明治29年)が見直され、2020年4月から改正民法が施行されます。
旧民法では特定物売買において「瑕疵担保責任」がありましたが、これが廃止され改正民法では、特定物・不特定物の区別はなく、引渡された目的物が「種類、品質及び数量に関して契約の内容に適合しないもの」であるときに、売主が「契約不適合責任」を負うことになります。改正民法では、建築請負契約において「請負人は、性能、品質、規格等において契約の趣旨に適合した仕事を完成させる義務を負っている。(中略)ここでいう「契約の趣旨」は、契約で明示的に合意されていた内容だけでなく、その契約の性質、契約をした目的、契約締結に至る経緯その他の事情に基づいて定まる。仕事の目的物が性能、品質、規格等において契約の趣旨に適合しないものであるときは、これを修補して契約の趣旨に適合したものにする義務を負う」とされています。
請負契約書や仕様書、見積書、設計図書、打ち合わせ議事録などが重要になるのは当然ですが、法令順守や施工精度適合などにも留意する必要があります。
①約定違反型 請負契約において明確に定められた内容の施工ができていない
契約書、仕様書、見積書、設計図書、議事録…
②法令違反型 建築基準法等に適合した施工ができていない
③施工精度型 通常一般の技術水準に適合した施工ができていない
民法改正により建築訴訟が容易となり建築訴訟リスクが増大します。この建築訴訟リスクを削減するためには、説明立証できる証拠(エビデンス)を残していくことが必要、目視録ではこの証拠(エビデンス)を簡単に残すことができます。
住宅品質確保法および住宅瑕疵担保履行法の特別法においては、用語定義をおこない「瑕疵」という用語が残り、住宅瑕疵保険は現行通りです。