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既存建築物の現況調査ガイドラインとは?調査の流れ・報告書・最新改訂をわかりやすく解説

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2026.10.28

目次

  1. 既存建築物の現況調査ガイドラインが注目される理由
  2. ガイドラインの概要
    1. 策定の目的
    1. 対象となる建築物と調査範囲
    1. 現況調査を行う人(建築士・指定確認検査機関)
    1. 旧ガイドラインとの統合
  3. 現況調査の全体像と進め方
    1. 調査1:検査済証の交付状況等の調査
    1. 調査2:現地調査の3つのパターン
    1. 調査結果の4区分
  4. 既存不適格と既存建築物の緩和措置
  5. 現況調査報告書の作成と確認申請での活用
  6. 改訂履歴と最新動向(第1版〜第5版)
  7. 必要書類・費用・依頼先とよくある質問
  8. 建物履歴を残すことが、次の現況調査を楽にする
    1. 記録の有無で調査はこれだけ変わる
    1. 当社の事例:検査済証のない築古ビルの再生
    1. 建物履歴を残すための当社サービス
    1. 今日からできる建物履歴の残し方
  9. まとめ

1. 既存建築物の現況調査ガイドラインが注目される理由

古い建物を増築・リフォーム・用途変更したいのに「検査済証がないから手続きが進まない」。こうした悩みに国が示した答えが「既存建築物の現況調査ガイドライン」です。

既存建築物を増築等する場合、手を加えない既存部分も含めて建築基準法令に適合している必要があります。ところが、既存部分の適合性を確認するのは難しく、既存建築ストックの有効活用の障壁になっていました。

さらに2025年4月の建築基準法改正で、木造2階建て住宅などの大規模の修繕・模様替にも建築確認が必要になりました。既存建築物の確認審査が増えることを見込んで、国土交通省は2024年12月にこのガイドラインを策定しています。

この記事では、2026年9月公表の最新版(第5版)をもとに、調査の流れ、既存不適格と緩和措置、報告書の作り方、改訂のポイントまでを順に解説します。

2. ガイドラインの概要

このガイドラインは、増築等や用途変更をする既存建築物が建築基準法令に適合しているかを、建築士が調べるための手順書です。出典はすべて国土交通省のガイドライン第5版です。

2-1. 策定の目的

目的は既存建築ストックの有効活用を円滑にすることです。ガイドラインは次の4点を示しています。

  • 建築基準法令の規定への適合状況を調べる手順と方法
  • 既存建築物の緩和が適用されることの確認方法
  • 確認申請での活用を想定した現況調査報告書の作成方法
  • 調査結果を踏まえた増築等・用途変更の計画の考え方

ここでいう「増築等」は、増築、改築、移転、大規模の修繕、大規模の模様替の5つを指します。

2-2. 対象となる建築物と調査範囲

対象は既存建築物全般で、旧法第38条の認定を受けたものだけが除かれます。木造住宅に限らず、S造やRC造の非住宅も対象になると国交省のQ&Aで示されています。

調査範囲は「建築基準関係規定」のうち、建築基準法令の規定(法・施行令・施行規則・法に基づく条例)です。消防法、都市計画法、水道法、建築物省エネ法などの関係規定は、このガイドラインの調査対象に含まれません。

2-3. 現況調査を行う人

調査は建築主の依頼を受けて、一級建築士・二級建築士・木造建築士が、それぞれ設計・工事監理できる範囲の建築物について行います。第2版からは指定確認検査機関も実施者に加わりました。ただし、依頼を受けるかどうかは各機関の判断に委ねられています。

2-4. 旧ガイドラインとの統合

2014年策定の「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」は、2025年4月1日に本ガイドラインへ統合されました。検査済証のない建物の調査も、今後はこのガイドラインに一本化されています。

3. 現況調査の全体像と進め方

現況調査は「調査1:検査済証の交付状況等の調査」と「調査2:現地調査」の2段階です。調査1の結果によって、調査2の方法が3通りに分かれます。

現況調査の全体像(国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン(第5版)」をもとに作成)

検査済証があれば調べる規定を絞れますが、着手時すら特定できないと全規定を現行基準に合わせる必要があります。

3-1. 調査1:検査済証の交付状況等の調査

調査1-①では、直近の建築等の工事に係る検査済証があるかを確認します。所有者が紛失していても、特定行政庁で「処分等概要書」を閲覧するか「台帳記載事項証明書」を取得すれば、交付の有無を調べられます。

調査1-②は、検査済証が確認できない場合に工事の着手時を特定する調査です。確認申請書の副本の第三面にある工事着手予定年月日が基本の根拠になります。副本がなければ、次の書類で代替できます。

  • 設計・建設住宅性能評価申請書、長期優良住宅の認定申請書、旧住宅金融公庫融資の申請書の副本
  • 工事請負契約書、登記事項証明書、固定資産税の課税台帳登録事項証明書や課税明細書

なお「直近の建築等の工事」には、建築確認の要否にかかわらず、新築・増築・改築・移転・大規模の修繕・模様替に当たる工事がすべて含まれます。

3-2. 調査2:現地調査の3つのパターン

パターン前提現行規定への適合着手時の規定への適合
調査2-①検査済証あり既存不適格の可能性がある規定だけ調査+不適合な改変の有無を確認検査済証の交付をもって確認
調査2-②検査済証なし・着手時を特定できるすべての規定を調査不適合のうち既存不適格の可能性がある規定を調査
調査2-③検査済証なし・着手時を特定できないすべての規定を調査調査しない(不適合はすべて「その他」)

調査2-①では、いわゆる4号特例で審査が省略された規定も、着手時の規定に適合しているとみなせます。どの規定が既存不適格になり得るかは、ガイドライン別添1の「既存不適格早見表」で年代ごとに確認できます。

調査2-②では、図面の有無で方法が変わります。確認申請書の副本の図面があれば現地と照合し、竣工図などしかなければ図面上で適合性を確かめてから照合します。図面がなければ実測して現況図を作ります。

現地調査は、点検口や非居室で原状復旧できる範囲の切り欠き、ファイバースコープ、鉄筋探査などで隠れた部分を確認します。調査できない箇所は、その場所と理由を報告書に明記します。

3-3. 調査結果の4区分

区分意味計画での扱い
適合現行の規定に適合そのまま
不適合(既存不適格)着手時の規定には適合、現行には不適合一定範囲の増築等で緩和を適用できる
不適合(その他)着手時の規定にも不適合(違反・改変など)現行規定に適合させる
不明やむを得ず調査できない原則、不適合とみなして現行規定に適合させる

「不明」が増えると緩和を使えず、改修費がかさみます。所有者に事情を説明し、現地調査に協力してもらうことが大切です。

4. 既存不適格と既存建築物の緩和措置

「不適合(既存不適格)」と確認できた規定は、政令で定める範囲内の増築等や用途変更であれば、現行規定に適合させなくてよくなります。これが「既存建築物の緩和」で、現況調査の最大の目的です。

4-1. 既存不適格とは

建てた当時は適法だったものの、その後の法改正や都市計画の変更で現行規定に合わなくなった状態を「既存不適格」といいます。違反建築とは異なり、建物を使い続けること自体は問題ありません。ただし増築等の際は、原則として現行規定への適合が求められます。

既存不適格と確認できるのは、次のどちらかの場合です。

  • 直近の工事で検査済証を受け、その後に規定に適合しなくなる改変(窓をふさぐなど)をしていない
  • 検査済証はないが、現況調査で工事着手時の規定に適合していたと確認できた

着手時そのものを特定できない場合は、建物全体を現行規定に適合させる必要があります。

4-2. 緩和が適用される規定(木造2階建て住宅の例)

ガイドラインは工事の種類ごとに緩和の有無を整理しています。主なものは次のとおりです。

規定増築・改築大規模の修繕・模様替用途変更
構造耐力(法20条)緩和あり緩和あり遡及なし
防火・22条区域の屋根・外壁緩和あり緩和あり遡及なし
内装、火気使用室の換気、採光緩和あり緩和あり緩和あり
接道・道路内建築、建蔽率、高さ制限緩和なし緩和あり遡及なし
容積率緩和あり緩和あり遡及なし
用途地域(法48条)緩和あり緩和あり緩和なし

増築・改築では接道や建蔽率、高さ制限に緩和がない点に注意が必要です。緩和を受けられる増築等の具体的な範囲は、別冊の「既存建築物の緩和措置に関する解説集」で確認できます。

4-3. 「不明」でも既存不適格とみなせるケース

「不明」は原則として不適合扱いですが、例外があります。設計図書がなく調査が難しい次の規定は、構造安全性を損なう著しい劣化がなければ、既存不適格とみなして計画できます(2025年3月26日付 国住指第517号)。

  • 法第20条のうち、小規模建築物(旧4号建築物など)の基礎の構造方法
  • 法第37条(基礎のコンクリートや鉄筋の品質)

また調査2-①では、「不明」の規定は「適合」か「既存不適格」のどちらかに当たるため、既存不適格とみなして緩和を使う考え方が示されています。改修で現行規定に適合させる予定の部分は、調査を省略して「不明」としてもかまいません。

5. 現況調査報告書の作成と確認申請での活用

現況調査報告書は、確認申請で「既存不適格調書」としてそのまま使える書類です。様式は国交省のガイドライン別添2の記入例に沿って作り、Word形式のサンプルも国交省サイトで公開されています。

5-1. 報告書を構成する5つの書類

  1. 現況調査報告書(かがみ):調査者、建物概要、検査済証の有無、規定ごとの調査結果の概要、改変の有無
  2. 調査項目チェックリスト:適用される規定と調査項目・調査方法
  3. 現況調査結果表:規定ごとの適合状況、調査結果、写真、備考
  4. 調査箇所を示した図面:増築等や用途変更の履歴がある部分も明示
  5. 検査済証の交付の事実、または工事着手時がわかる書類

第4版からは結果表に備考欄が加わり、「改修で現行規定に適合させるため調査を省略した」といった理由を書けるようになりました。

5-2. 調査項目チェックリストの主な項目

ガイドラインのチェックリストは、木造2階建て住宅(軸組工法)を想定しています。隠れた部分は規定ごとに1か所以上、構造関係は各階1か所以上を調べるのが目安です。

分類主な調査項目主な調査方法
敷地道路との高低差、排水、接道長さ、前面道路幅員目視、計測、指定道路図
構造基礎の配筋、柱の小径、筋かい、金物、壁量鉄筋探査、点検口からの目視、壁量計算
防火防火地域の指定、屋根・外壁材、防火設備都市計画情報、目視、認定シール
設備換気量、火気使用室、便所、給排水風量測定、型番から性能確認
材料コンクリート・鉄筋のJIS、石綿、ホルムアルデヒド図書、目視、経過年数の確認
一般構造採光、天井高、床の防湿、階段計測、目視
集団規定用途地域、容積率、建蔽率、高さ制限都市計画情報、計測、建築計画概要書との照合

S造やRC造、住宅以外の用途では、構造種別や用途に応じて規定を追加します。

5-3. 確認申請と図書の保存

調査結果が出たら、「不適合(その他)」と「不明」の部分は現行規定に適合させ、「既存不適格」の部分は緩和を使う計画を立てます。確認申請では、既存部分の適合性も審査されるため、報告書を添付図書として使います。

報告書や確認済証、検査済証は、次回の増築等でも必要になります。所有者が確実に保管しておくことが重要です。

紙の書類は紛失しやすいため、住宅履歴情報サービス『住歴録』のような仕組みでデジタル保管しておくと、次の調査でそのまま使えます。記録の残し方は「8. 建物履歴を残すことが、次の現況調査を楽にする」で詳しく紹介します。

6. 改訂履歴と最新動向(第1版〜第5版)

最新版は2026年9月の第5版で、検査済証のない木造建築物は耐震診断の結果を使って構造耐力(法20条)の適合を判断できるようになりました。策定から2年弱で4回改訂されているため、必ず最新版を使いましょう。

版公表主な改訂内容
第5版2026年9月耐震診断の結果を法20条の適合確認に活用(国住指第299号を反映)
第4版2026年3月改修で現行規定に適合させる部分は「不明」として調査省略可、添付図書を図表で整理、記入例の簡素化と備考欄追加
第3版2025年11月「不明」規定の取扱いを追記、大規模の修繕・模様替での法22条・23条の緩和創設に対応、確認申請図書の記載事項に対応
第2版2025年3月用途変更の記載を追加、実施者に指定確認検査機関を追加、チェックリスト適正化、報告書の作成例(別添2)を追加
第1版2024年12月策定・公表

出典:ガイドライン第5版の改訂履歴

6-1. 第5版のポイント:耐震診断で法20条を確認

検査済証がなく構造の調査が難しい木造建築物(旧4号建築物など)は、耐震診断の評点Iwで直近の建築時の法20条に適合していたとみなせます。

直近の建築の時期必要なIw既存不適格の基準時
1950年11月23日〜1981年5月31日0.5以上1981年6月1日
1981年6月1日〜2025年3月31日1.0以上2025年4月1日

耐震診断は日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」(一般診断法・精密診断法)などで行います。同じ技術的助言(2026年8月31日付 国住指第299号)では、大規模の修繕・模様替で緩和の対象となる「増築等をする部分」の解釈も整理され、緩和措置に関する解説集(第4版)に反映されています。

6-2. 事例編も公開

2026年3月にはガイドライン事例編も公開されました。昭和54年築・検査済証なしの木造2階建て住宅をフルリフォームする事例で、規定ごとの判断理由と改修方針、確認申請の添付図書が具体的にわかります。たとえば台所をIHクッキングヒーターにして火気使用室の対象から外し、内装や換気の調査を不要にする方法が紹介されています。

7. 必要書類・費用・依頼先とよくある質問

現況調査は建築士事務所や指定確認検査機関、調査会社に依頼でき、費用は資料の残り具合で大きく変わるため個別見積もりが基本です。

7-1. 用意しておきたい書類

  • 確認済証・検査済証(なければ処分等概要書や台帳記載事項証明書)
  • 確認申請書の副本と添付図面、竣工図面
  • 開発許可や建築関係の許可・認定の通知書
  • 建材・設備の仕様書や型番がわかる資料、工事監理写真
  • 工事請負契約書、登記事項証明書、固定資産税の課税明細書(着手時の特定用)

7-2. 費用の考え方

公表価格を出している事業者はほとんどありません。たとえば東京海上ディーアールは、確認済証や図面、工事写真の有無、現況と図面の違いで金額が大きく変わるとして個別見積もりとしています。同社は事前に図上調査と予備的な現地調査を行い、調査範囲を絞ってから本調査に進む段階的な進め方を採っています。

費用を抑えるコツは、図面と書類をできるだけ集めてから依頼することです。図面がないと実測して現況図を作る必要があり、そのぶん手間と費用が増えます。

図面が残っていない建物では、ドローンや360度カメラによる建築物三次元スキャンで現況を記録しておく方法もあります。

7-3. 依頼先と事前相談

確認申請の提出先となる特定行政庁や指定確認検査機関には、調査前に相談しておくと安心です。たとえば神戸市は、検査済証がある場合でも市への確認申請には現況調査報告書の提出を求めています。自治体ごとに運用が異なるため、早めの確認が欠かせません。

7-4. よくある質問

Q. 大規模の修繕・模様替も対象ですか?

A. 対象です。ガイドラインの「増築等」には大規模の修繕・模様替が含まれます。

Q. 鉄骨造やRC造、住宅以外でも使えますか?

A. 使えます。チェックリストは木造住宅を例にしていますが、構造や用途に応じて規定を追加して調査します。

Q. 確認申請が不要なリフォームは「直近の建築等の工事」に入りますか?

A. 新築・増築・改築・移転・大規模の修繕・模様替に当たる工事なら、確認申請の要否にかかわらず含まれます。それ以外の工事は含まれません。

Q. 指定確認検査機関は必ず調査を受けてくれますか?

A. 受けるかどうかは各機関の判断です。

回答の出典:国土交通省 Q&A

8. 建物履歴を残すことが、次の現況調査を楽にする

現況調査の手間・費用・結果を左右するのは、建物の記録がどれだけ残っているかです。ガイドライン自身も、現況調査報告書や確認済証、検査済証を「次の増築等で必要になる図書」として所有者が確実に保存するよう求めています。

8-1. 記録の有無で調査はこれだけ変わる

残っている記録現況調査で助かること記録がない場合
検査済証調査2-①で、調べる規定を既存不適格の可能性があるものに絞れる処分等概要書などで交付の有無から調べ直す
確認申請書の副本・添付図面着手時を特定でき、図面と現地の照合で済む実測して現況図を作る(調査2-②ウ)
工事記録・施工写真隠れた部分の仕様を確認でき、現地での切り欠きを減らせる点検口や部分破壊、鉄筋探査で確認
建材・設備の仕様書換気量や内装材の適合を書類で確認できる「不明」が増え、緩和を使えず改修費が増える
過去の改修・点検の履歴改変の有無や直近の工事を説明できる所有者へのヒアリング頼みになる

着手時すら特定できなければ、建物全体を現行規定に適合させることになります。記録を残すことは、将来の改修費を抑える一番の備えです。

当社の住宅履歴情報サービス『住歴録』は、「建物履歴は大切な資産情報」という考えから生まれたサービスです。合法建築物であることや住宅性能を証明できる記録が残っているかどうかで、建物の資産価値は大きく変わります。これは、検査済証や図面の有無が現況調査の範囲と結果を決めるのとまったく同じ構図です。

住歴録では、新築時の図面・性能評価書から、インスペクション、定期メンテナンス、性能向上リノベーションの書類までを整理・蓄積します。ただ保管するだけでなく、有資格者がプロの目で工事内容や記録を確認し、「質の高い住宅履歴」に仕上げるのが特長です。建築士法や民法の改正で設計図書を保管する重要性は増しており、当社は4号特例縮小への備えとして設計図書の保存も呼びかけています。

8-2. 当社の事例:検査済証のない築古ビルの再生

当社エー・エス・ディの築古ビル再生支援では、検査済証のないビルを法適合させて再生した実績があります。

項目内容
建物AP STUDIO成城学園前ビル(2004年築、鉄骨造地上4階、延床213.67㎡)
課題検査済証なし、空室で利回りが取れない
対応建築確認申請の際に原状復帰し、用途変更を申請して確認済証を取得
結果利回り7.0%、家賃175万円/月、売価3億円

この事業では、再生の過程で得た資産価値の根拠を「ビル履歴情報」として蓄積しています。一度きちんと調べて記録を残せば、次の改修や売却のときにそのまま根拠として使えます。

8-3. 建物履歴を残すための当社サービス

当社は現場課題の「見える化」に26年取り組み、現場への導入実績は500万件を超えています。建物の一生分の記録を残すために、次のサービスを提供しています。

サービス残せる記録現況調査での使いどころ
住宅履歴情報サービス『住歴録』新築時の図面・性能評価書、インスペクションや定期メンテナンスの書類、リノベーションの記録を一元管理合法建築物であることや住宅性能の証拠を、必要な時にすぐ提示できる
施工管理クラウド『目視録』設計図書と関連付けた施工記録、写真付き報告書隠れた部分の施工状況を写真で示せる
維持管理クラウド『点検録』点検・施設管理・インスペクションの記録改変の有無や劣化状況の経緯を説明できる
建築物三次元スキャンドローン空撮や360度カメラによる三次元モデル図面のない建物の現況把握や記録保存に使える
築古ビル再生支援再生の過程で得たビル履歴情報検査済証のないビルの用途変更・法適合の相談

三次元スキャンは、2026年1月に横浜市大倉山記念館のデジタルアーカイブ化でも活用しました。建物の記録は、保存だけでなく日々の維持管理にも役立ちます。

8-4. 今日からできる建物履歴の残し方

  • ☐ 確認済証・検査済証・確認申請書の副本を探し、なければ処分等概要書や台帳記載事項証明書を取得する
  • ☐ 図面・仕様書・工事請負契約書をスキャンしてデジタル化する
  • ☐ リフォームや点検のたびに、日付・内容・写真を記録する
  • ☐ 現況調査報告書を作ったら、確認済証などと一緒に保管する
  • ☐ 売却や相続の際は、記録一式を次の所有者に引き継ぐ

9. まとめ

既存建築物の現況調査ガイドラインは、検査済証の有無にかかわらず既存建築物を増築・改修・用途変更するための「共通ルール」です。押さえておきたいポイントは次の5つです。

  1. 調査は「調査1:検査済証等の調査」と「調査2:現地調査」の2段階
  2. 検査済証の有無と着手時の特定可否で、現地調査は3パターンに分かれる
  3. 「既存不適格」と確認できれば、一定範囲の増築等で緩和が使える
  4. 現況調査報告書は確認申請の「既存不適格調書」として活用できる
  5. 2026年9月の第5版で、木造は耐震診断の結果を法20条の確認に使えるようになった

調査の精度と費用は、残っている図面や書類で大きく変わります。リフォームや用途変更を考え始めたら、まず手元の書類を集め、建築士と確認申請の提出先に早めに相談しましょう。

そして調査が終わったら、報告書と書類一式を建物履歴として残してください。今回の記録が、次の改修や売却で建物の価値を証明する根拠になります。建物履歴の管理や築古ビルの再生については、株式会社エー・エス・ディへお気軽にご相談ください。

参考資料

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